ドバイが目指す世界一 800メートル以上の超高層ビル(AERA:2005年6月13日号)

「中東の香港」と呼ばれるドバイで、東京タワーの2.4倍以上という、とてつもない超高層ビルの建設が始まった。

 だが正確な高さは今、マル秘扱い。その背景には――。

    ◇ 

 現在の世界一を一気に300メートルも上回るこの超高層ビルの名前は「ブルジュドバイ」。アラブ首長国連邦(UAE)のドバイに建設される。160階建てで、下層部はホテル、中層部は高級マンション、109階から上はオフィス。2008年の完成予定だ。

 使われるコンクリートの量は23万立方メートルで、重さは象10万頭分。エレベーターは世界最速の秒速18メートル……。

 「すごいものをつくって観光客を呼ぼうという戦略です」(ドバイ政府観光商務局)

 

 ●競争激しく上方修正

 高さは、昨年暮れ、「700メートル」と発表された。だが今年になって「800メートル以上」に上方修正された上、建設が始まって数カ月たった現在に至っても「世界一を目指す」というのみで、正確な高さは公表されていない。

 「計画から完成まで数年かかる。その間に、もっと高いビルを計画されるかもしれないので、秘密にするのでしょう。つまり、それほど競争は激しくなっている。その原動力は、小国でも世界一が造れるというプライドでしょう」

 と言うのは、1級建築士で、『トコトンやさしい巨大高層建築の本』を監修した高橋俊介さんだ。

 かつて、米国のお家芸であった超高層ビル建設競争は、近年アジア・中東に舞台を移している。90年代後半から400メートル級が次々に出現、20年以上トップの座にあった米シカゴのシアーズタワーもマレーシアのペトロナスタワーに取って代わられた。現在のトップは台湾の台北101だ。

 「世界一」の座を奪回すべく、米国は、同時多発テロで崩壊したニューヨークの世界貿易センター跡地に、高さ541メートルのフリーダム・タワーを建設中。だが完成は、ブルジュドバイ完成の1年後で、このままでは一度も「世界一」にならない可能性が高い。

 逆に言えば、ドバイにとっても油断は禁物ということだろう。現に今年2月、ソウルでロッテグループが09年完成を目指して「高さ800メートルの200階建てを計画中」と韓国紙が報じた。ブルジュドバイの高さが「秘密扱い」となったのは、その前後だ。

 ちなみに、設計はフリーダム・タワーと同じ米SOM社、施工は韓国サムスングループ。ドバイでこの組み合わせになった事情は定かではないが、コンピューターによる解析技術の進歩が、かつては考えられないような高さへの到達を可能にしたのは間違いない。各地で手がけている大成建設によると、ここ10年で飛躍的に発達し、複雑な形でも建物の重量や風の影響などを細かく解析できるようになった。加えて、鉄骨やコンクリートなどの質も向上したという。 

 ●オイルマネーの受け皿

 それにしても、なぜ、人口120万人に過ぎない一首長国のドバイなのか。背景にあるのは、米同時多発テロ以降の中東産油国の事情だ。日本貿易振興機構(ジェトロ)ドバイ事務所の皆木良夫所長によると、同じイスラムで、かつ安定した治安のドバイの巨大プロジェクトは、それまで欧米に流れ込んでいたオイルマネーの格好の受け皿になったという。

 目指すのは天空だけではない。アラビア湾には直径5キロ超のヤシの木の形をした人工島を三つも造成中。豪華な邸宅やホテル、マリーナを備え、サッカーのベッカム選手ら世界のセレブが購入したと伝えられる。巨大な屋内スキー場や世界最大のショッピングモールも06年までに完成するという。

 (AERA編集部・有吉由香)
ttp://www.asahi.com/housing/zasshi/TKY200506150202.htmlより転記
世界の超高層ビル・ランキングは、ランドマークタワー横浜が34位にようやく出てくるが、ゼネコンや設備は日本企業が活躍しているようだ。

コメント

nophoto
けーぷ
2008年6月27日11:18

実際に見てみたい。。。

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